大腿骨頸部骨折ケアの極意:プロが教える動作能力向上プログラム2507PT

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今回のセミナー情報

講義タイトル 大腿骨頸部骨折ケアの極意:プロが教える動作能力向上プログラム
講師 理学療法士 Mr.T
開催形式 WEBセミナー

講義目次

講義内容

廃用症候群に対する
動作能力向上プログラム

廃用症候群に対する/動作能力向上プログラム

① 高齢者の未来を守る訪問マッサージ師の専門職性 「リラクゼーション」から「自立支援」への役割転換

◆ 「リラクゼーション」から「自立支援」への役割転換

高齢者マッサージの役割は、気持ちよくすることだけでは終わらない。

本来の役割は、動作能力の再獲得生活機能の維持を支援することにある。

目的 寝たきりを防ぎ、生活を守る

役割 動作を変えるための下地を作る

視点 施術と動作を必ず結びつける

大腿骨頸部骨折は、単なる骨の怪我ではなく、その人の人生の分岐点になる。

現実 歩けなくなると生活範囲が一気に狭まる

連鎖 外出しない → 筋力低下 → 廃用

マッサージ師は、筋・筋膜・皮膚・関節包といった動作の土台を直接変えられる職種である。

強み 動けない原因となる「硬さ」を取れる

立場 PTの前段階で「動ける体」を作る

機能的マッサージとは、常に動作と結びつけて考えるマッサージである。

➡ この施術は、どの動作を楽にするのかを常に自問することがプロの思考である

多職種から信頼されるマッサージ師は、触った理由動作との因果関係を説明できる。

評価 なぜ動けないかを説明できる

介入 どこを変えたかを説明できる

再評価 何が変わったかを示せる

➡ マッサージ師は「癒す人」ではなく「人生の機能を守る専門職」である

※資料:セミナー導入メッセージ動画

② 大腿骨頸部骨折の臨床的インパクト 「歩けるか、寝たきりか」を分ける重大イベント

◆ 「歩けるか、寝たきりか」を分ける重大イベント

大腿骨頸部骨折は、高齢者の生活機能を一気に変えてしまう重大なイベントである。

問題の本質は、骨が折れたことそのものではなく、その後に動かなくなることにある。

発端 転倒と骨折による活動量の低下

連鎖 動かない → 筋力低下 → 立てない

結果 歩かなくなり、廃用が進行する

この連鎖が進むと、外出機会は減り、社会参加と意欲が失われていく。

◆ 歩行能力と生命予後の関係

臨床データでは、退院時の歩行能力が高い人ほど生存率が高いことが示されている。

指標 歩行能力は予後のバロメーター

影響 歩けない期間が長いほど回復は難しくなる

➡ 大腿骨頸部骨折は「骨の問題」ではなく「人生の機能の問題」である

※資料:予後とADL低下の関係グラフ

③ 大腿骨頸部骨折の解剖学的理解 構造を知らずに触ることのリスク

◆ まず「構造」を知らずに触るのは危険

股関節は、骨・関節包・靭帯・筋肉・血管から構成される非常に複雑な関節である。

どこが壊れていて、どこが守られるべきかを理解せずに触ることは、回復を妨げるリスクになる。

支持構造の中核

関節包 安定性と可動性のバランスを決める

動作を生み出すエンジン

◆ 特に重要なのは「血流」

大腿骨頭は、血流が途絶えると壊死するという非常にデリケートな構造を持つ。

頸部は血管が走行する重要な通り道であり、骨折によって血流障害が起きやすい。

◆ 関節包内と外の決定的な違い

関節包内 骨膜がなく、血流障害で壊死リスクが高い

関節包外 血流は保たれやすいが、筋損傷が大きい

この違いを理解していないと、安全管理のレベルが大きくズレる。

➡ 解剖を知らずに触るのは、地図なしで危険地帯に入るようなものである

※資料:股関節と血管走行の解剖図

④ 内側(関節包内)骨折の病態とリスク管理 骨頭壊死と脱臼を防ぐための臨床視点

◆ 最大の敵は「骨頭壊死」と「脱臼」

内側骨折の本質は、骨がつかないリスク血流が途絶えるリスクを常に抱えている点にある。

とくに大腿骨頭は、血流が途絶えると壊死に陥る可能性が高い。

◆ なぜそんなに治りにくいのか

骨膜なし 仮骨形成が起こりにくい

関節液 骨癒合を物理的に妨げる

血管損傷 骨頭壊死のリスクが高い

◆ 多くは人工骨頭置換術になるという前提

多くの症例では、人工骨頭置換術が選択される。

つまり、自分の骨ではない関節で生活することになるという前提を理解しておく必要がある。

◆ マッサージ師が絶対に守るべき安全管理

深屈曲 股関節を深く曲げすぎない

内旋内転 脱臼肢位を絶対に作らない

確認 触る前に必ず禁忌をチェックする

攻めるべき場所と、守るべき場所を明確に分ける視点が重要になる。

➡ 内側骨折は「可動域を出す前に、まず安全管理」が鉄則である

※資料:骨頭血流と壊死リスク図

⑤ 外側(転子部・関節包外)骨折の病態と介入戦略 「骨はつく、でも動けない」が起きる理由

◆ 「骨はつく、でも動けない」が起きる理由

外側骨折は、骨癒合は比較的良好である一方、筋・軟部組織の損傷が大きいという特徴を持つ。

その結果、骨はついているのに支持性が戻らず動けないという状態が起きやすい。

◆ 何がそんなに壊れているのか

中殿筋 立位・歩行の支持性が低下する

大殿筋 立ち上がり動作のパワーが出ない

外旋筋群 股関節の安定性が低下する

血腫 広範な炎症と腫脹が起きやすい

◆ 術後によく起きる問題

腫脹 動かすと痛みが強くなる

疼痛 荷重に対する恐怖が生まれる

筋出力低下 立位保持が不安定になる

◆ マッサージ師の介入戦略

初期 循環改善と浮腫コントロールを優先

中期 殿筋群の賦活と滑走改善

視点 支持性の再構築を常に意識する

骨はつくからといって、最初から強い刺激を入れるのは逆効果になることが多い。

➡ 外側骨折は「骨」ではなく「筋の再建」が回復の鍵になる

※資料:転子部骨折術後の腫脹写真

⑥ 術後に必ず起こる「廃用症候群」の構造理解 動かないことが最大のリスクになる

◆ 廃用は「自然に治る」ものではない

術後の安静は一時的に必要だが、動かない期間が続くほど機能は落ち続ける

廃用症候群は、筋力・持久力・循環・認知など複数系統に同時に影響する。

使わなければ指数関数的に落ちる

心肺 少しの動作で息切れするようになる

神経 動作の段取りが悪くなる

◆ 廃用は「悪循環のループ」を作る

動かない → 筋力低下

筋力低下 → 動くのがつらい

不安 → さらに動かなくなる

このループに入ると、骨は治っているのに生活が戻らない状態になる。

◆ マッサージ師が介入できる本当の価値

循環 触れることで血流を作れる

可動性 動きやすい体を準備できる

心理 「動いても大丈夫」という感覚を作れる

廃用への介入は、トレーニングよりも前に環境を整える作業とも言える。

➡ 廃用は「時間が解決する問題」ではなく「先に手を打つ問題」である

※資料:臥床期間と筋力低下率の関係グラフ

⑦ 評価の基本フレーム:どこが動けないのかを見抜く 病態・機能・動作をつなぐ臨床推論

◆ 評価は「悪い所探し」ではない

評価の目的は、症状の列挙ではなく、動作が止まる理由の特定にある。

そのためには、病態 → 機能 → 動作の順で因果をつなぐ思考が必要になる。

病態 骨折・手術・炎症・安静

機能 可動域・筋出力・協調性

動作 立つ・歩く・座る

◆ 「できない動作」から逆算する

まずは、できない動作をはっきりさせる。

立ち上がり 途中で止まる/体を前に倒せない

立位保持 すぐに崩れる/痛みで逃げる

歩行 荷重できない/一歩が出ない

そこから、どの機能が足りないかを分解していく。

◆ マッサージ師が見るべき評価ポイント

滑走 皮膚・筋膜が動作を邪魔していないか

硬さ 可動域制限の主因はどこか

恐怖 痛みや不安で動作を止めていないか

評価は、そのまま介入の優先順位になる。

➡ 評価とは「どこを触れば動きが変わるか」を見抜く作業である

※資料:動作別評価チェックリスト例

⑧ 起き上がり・立ち上がり動作の再建戦略 「動作は分解して作り直せる」

◆ 起き上がれない理由は1つではない

起き上がり・立ち上がり動作は、複数要素の統合動作である。

単純に「筋力が弱い」だけでは説明できないことが多い。

可動域 股関節・体幹が曲がらない

荷重 患側に体重を乗せられない

恐怖 痛みや不安で動作を止める

◆ 動作は「分解」して考える

動作は、準備・重心移動・支持・伸展といったパーツに分解できる。

準備 体幹前傾・足の位置調整

移動 重心を前に運べるか

支持 下肢で体を支えられるか

◆ マッサージ師ができる下準備

滑走改善 体幹・殿筋の動きを出す

可動域 股関節前傾が出る体を作る

安心感 触れることで動作への恐怖を下げる

動作練習の前に、「動ける体の状態」を作っておくことが成果を左右する。

➡ 起き上がり・立ち上がりは「練習」ではなく「準備」で半分決まる

※資料:起き上がり・立ち上がり動作の比較写真

⑨ 歩行再建のための支持性と荷重戦略 「一歩が出ない」の正体を分解する

◆ 歩行は「片脚立位の連続動作」

歩行とは、片脚で体重を支える時間の連続である。

つまり、歩けない原因の多くは「支持できない」「乗れない」に集約される。

支持 片脚で体を支える筋力と安定性

荷重 体重を患側に移せるかどうか

◆ 「怖くて乗れない」は機能低下と別問題

筋力があっても、痛みや不安で荷重できないケースは非常に多い。

痛み 術創部・殿筋・大腿部

恐怖 転倒イメージによるブレーキ

◆ マッサージ師の介入で変えられる部分

滑走 殿筋・大腿筋の動きを軽くする

疼痛緩和 触れることで「乗れそうな感覚」を作る

感覚入力 体重が乗っても大丈夫という認知を作る

支持性トレーニングの前に、「乗れる身体状態」を作ることが重要になる。

➡ 歩行再建は「筋トレ」ではなく「荷重できる身体づくり」から始まる

※資料:荷重量と支持時間の変化グラフ

⑩ 訪問現場での統合戦略とチーム連携 評価・施術・動作をつなげる実践フレーム

◆ 現場では「部分最適」は意味がない

訪問現場では、評価・施術・動作練習を切り離して考えることはできない。

すべては、生活動作を取り戻すという1つの目的に統合される。

評価 今日どこを変えれば一番楽になるか

施術 そのための身体条件を作る

動作 すぐに使わせて定着させる

◆ チーム連携が成果を何倍にもする

訪問リハの現場では、PT・看護師・ケアマネ・マッサージ師の連携が成果を大きく左右する。

共有 何が問題で、何を狙っているか

役割 誰がどこを担当するか

◆ 記録とフィードバックが成長を作る

良いチームは、変化を言語化して共有している。

Before 何ができなかったか

After 何ができるようになったか

➡ 訪問リハの質は「個人の技量」ではなく「チームの設計」で決まる

※資料:多職種連携カンファレンスの様子

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