「ニーズ」に即したサービス提供。地縁が結んだ厚い信頼関係。[まごころ便りVOL .3]

「歩きたい」意思を尊重。

もともと活動的だったご本人にとって、歩行は元より歩行練習そのものができない事は、生きがいを失うことにつながっていました。その状況を打開したいとの願いから施術がスタート。失語のため、最初はコミュニケーションが取りにくいもどかしさもありましたが、施術による改善の喜びを共有することで、信頼も深まっていきました。ご本人の生きがいでもあった「博多祇園山笠」の時期が近づくと、外出できない歯がゆさから感情の高ぶりが抑えられず、筋肉が緊張してしまう時期もありましたが、先々のことを考えて地道な訓練を続け、一年足らずで屋内で杖を使用した自立歩行が可能に。より早く歩きたいとの気持ちから歩き方を崩してしまうこともありましたが、現在はそれも解消しました。歩幅を広く取り、ゆっくり歩くよう、動きを確かめながら取り組んでいます。

福岡営業所 / 楠田所長

相性の良い施術師との出会いで、飛躍的に改善。

今回のケースは、活動が制限され、意欲が低下した方が、相性の良い施術師と出会い、納得して施術を受けられることで、飛躍的な改善を実現した事例です。博多の伝統行事「博多祇園山笠」にご利用者・施術師ともに縁があったことや、ご本人の意思を尊重した施術を心がけることで、深い信頼関係を結び、失いかけていた気力を呼び戻し、身体回復につながりました。精神的な面から身体的な大きな回復へとつながった経緯に焦点を当てました。

<初期目標>

疼痛緩和
弛緩性麻痺の改善、

<中長期的目標>

安定歩行
歩行距離の延長

治療内容

施術開始は12月で、まずは全身のマッサージ、疼痛の改善に取り組みました。疼痛は2ヶ月ほどで軽減し、いよいよご本人の要望である歩行へと言う段階に。当初、歩行練習は施設の判断で控えていましたが、いつでも歩行練習が始められるようにと運動法から開始する提案もしていました。施設、ご本人・ご家族も納得され、関節リラクゼーションと促通運動法を開始。ここから日々改善されていくようになりました。念願の4点杖での歩行練習は10ヵ月後に開始。歩行距離は現在40メートルまで可能になり、さらに伸ばせるよう取り組んでいます。

自立歩行は目標達成。次は屋外、山笠の賑わいを目指して。

これ以上良くならないと言われ、諦めていた麻痺が回復されてきた事は、ご本人にもご家族にも嬉しい驚きでした。施術師には全幅の信頼を寄せていただいており、練習には現在も高い意欲を持ち続けておられます。屋外での歩行まであと1歩。屋外での様々な障害物に対応できる条件が整い、施設、ご本人、ご家族と話をした上で、屋外での練習が実施できる日を目標に努めています。

ご利用者情報

M様(76歳・男性)

傷病名:脳出血、バランス能力低下、全失語、観念運動失効
脳出血による後遺症があり、弛緩性麻痺と疼痛、筋力低下が見られ、座位は保持できるものの、立位の保持が難しい状況にありました。さらに失語のため、コミュニケーションを取ることも困難でした。

目標の屋外歩行に向けた練習そのものが、強いニーズに。
M様は杖を使った安定歩行を望まれており、最終的には屋外での歩行を目標とされていましたが、担当専門職の判断で歩行練習をしてもらえないこと自体がストレスとなっていました。施設の方もご家族もやりたい練習ができないことで、やる気や生きがいが失われていくことを心配され、メンタル面のフォローも望まれました。

川端施術師