仰臥位から始まる動作改善|寝たきりを変える“評価×介入”アルゴリズム

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月1回の理学療法セミナー。社内外の医療・介護従事者の学びの場として公開しています。

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今回のセミナー情報

講義タイトル 廃用症候群
講師 理学療法士 Mr.T
開催形式 WEBセミナー

講義目次

講義内容

廃用症候群に対する
動作能力向上プログラム

1. 疾患概念

動作能力向上プログラム

~動作能力から導き出すアルゴリズムの

考え方~

2. 閉じこもりの疫学

廃用(disuse,用いないこと)、

すなわち生活全体の不活発に

よる心身機能の使用の現象から発生する、

あらゆる心身機能低下

生活不活発病

(廃用症候群)

3. 1日の座位行動

60歳以上

7.5%

85歳以上 25.5%

本邦における報告

海外における報告

65歳以上 10.3%

75歳以上 18.0%

(米国)

(英国)

4. 時間が長いと死亡率アップ!?

1日平均11時間以上座っている(もしくは横になってい)人は、4時間未満の

人と比べて1.4倍命を落とす確率が上がると報告されています。また、1日の座位行動が8時間を超えてくると急にリスクが上がってくる。

※ 働いていたり、通常生活をしている人も含まれています。

5. 介護が必要になった主な原因

このデータは、平成25年時点での介護が必要になった主な原因を示しています。介護度(要支援・要介護)のレベル別に、1位~3位の原因が分類されています。

全体の傾向

**脳血管疾患(脳卒中)**が介護の主な原因として最も多く、特に要介護3以上では1位の原因として突出している。

認知症も介護の大きな要因となり、要介護1・2では1位に、要介護3以上でも2位に位置している。

高齢による衰弱や骨折・転倒は、要支援者や要介護度の低い層での主要な要因になっている。

介護度別の特徴

要支援者(要支援1・2)

関節疾患が1位。特に要支援2では約23%と高い割合を占める。

高齢による衰弱や骨折・転倒が2位・3位に多く見られ、運動機能の低下が主な原因と考えられる。

要介護者(要介護1~5)

**脳血管疾患(脳卒中)**が1位、認知症が2位として目立つ。

要介護1・2では高齢による衰弱や骨折・転倒が3位となり、軽度の介護者では加齢による体力低下が影響している。

要介護3以上では、脳血管疾患・認知症が上位を占め、より重度の介護が必要になる原因となっている。

まとめ

このデータから、介護が必要となる主な要因は脳血管疾患(脳卒中)、認知症、高齢による衰弱、骨折・転倒であることが分かる。

特に、要支援者では運動機能の低下が主な要因であるのに対し、要介護者では脳疾患や認知症が主な要因として目立つ。

これにより、早期の予防策として運動機能維持や認知症対策が重要であると考えられる。

介護が必要になった主な原因 ALSOKケアプラスで学べる事はこちら

6. 廃用症候群発生条件 (1)

〇原疾患治療のための安静臥床

〇活動性の乏しい生活習慣

〇精神症状としての不動

〇局所固定療法

〇麻痺

7. 廃用症候群発生条件 (2)

〇拘縮

〇疼痛による活動制限

〇感覚障害による使用頻度の低下

〇転倒不安などによる非活動性

8. 要するに・・・

動かない

・動けない

ことが

廃用症候群の発生に直結する

9. どうしたら

動くことができるのか?

なぜ動けなくさせているのか?

どうしたら

10. どれに焦点を当てて

治療をすべきか

評価の重要性

そのために

やるべきことは?

どれに焦点を当てて セミナーレポート一覧

11. 閉じこもり要因

〇社会的要因

〇身体的要因

〇心理的要因

閉じこもり要因

12. 身体的要因

● 脳血管障害

● 骨折

● 痴呆

● 呼吸不全

● リウマチ

・関節炎

● 歩行障害

● 尿失禁

など

身体的要因

14. 心理的要因

● 自己効力感の低下

● 生きがいの喪失

● 趣味の欠如

● 生活意欲の低下

● 障害の非受容

● 抑うつ

● 転倒恐怖

など

心理的要因

15. 廃用症候群の症状

〇身体の一部に起こる症状

〇全身に影響する症状

〇精神や神経の働きに起こる症状

廃用症候群の症状 セミナー詳細・スケジュール

16. 廃用症候群

身体の一部に起こるもの

〇関節拘縮

〇骨萎縮

〇皮膚萎縮

〇静脈血栓症

〇褥瘡

〇筋萎縮・筋力低下・筋持久力低下

廃用症候群

17. 廃用症候群 (2)

全身に影響するもの

〇心肺機能低下

〇尿量増加

血液量の減少

→脱水など

〇消化器機能低下

a:食欲不振

b:便秘

〇起立性低血圧

廃用症候群 (2)

18. 廃用症候群 (3)

精神や神経の働きに起こるもの

〇周囲への無関心

〇うつ状態

〇自律神経不安定

〇知的活動低下

〇姿勢・運動調節機能低下

19. アルゴリズムとは?

アルゴリズムとは、問題を解決したり、目標を達成したりするための手順や計算方法、思考方法。

「算法」と呼ばれることもある。

答えを求めるときの手順を具体的かつ明確に示したものだと言える。

アルゴリズムとは、その手順に沿っていれば誰でも同じ答えが得られるものを指す。

アルゴリズムを学ぶことで、論理思考や問題解決能力が向上し、創造性も高まる。

20. アルゴリズムの特徴

・その手順に沿っていれば誰でも同じ答えが得られる。

・有限時間内に解が得られる。

社員向け案内

21. 廃用症候群の方をイメージしてください

ケアマネから

『圧迫骨折をしてベッド上の生活が長くなってしまい、以前はお部屋の中は歩いて自立していたんですが今は寝たきり状態になってしまってまして。。。

以前のようにお部屋の中は杖などを使ってでも歩けるようにしたいのですが。

リハビリお願いします!』

先生方はどうのように進めていきますか?

22. 施術開始までの進め方

1. 医療情報・既往歴・現病歴の確認

2. 問診

3. 動作レベル確認(能力障害の程度確認)

4. 機能レベル確認(機能障害の程度確認)

5. 統合と解釈(障害構造の整理)

6. リハ実施(即時効果の確認)

7. 治療効果の考察(即時効果が得られた項目と得られなかった項目)

8. 目標設定(予後予測)

9. ケアマネ

・家族報告し理解を得る

23. しているADL

1.仰臥位

2.寝返り

3.起き上がり

4.座位

5.立ち上がり

6.立位

7.歩行

能力目標としては、1から順序立てて、獲得させなくては

目標到達されない(しているADL)

しているADL

24. 仰臥位

仰臥位までのアルゴリズム

表にて

仰臥位

25. 仰臥位 (2)

表にて

仰臥位 (2) 提携登録施術師募集

26. 寝返り動作能力障害の発生が予想される

身体機能障害

〇頚部関節可動域制限

〇肩甲帯可動域制限

〇上肢筋力低下

〇体幹回旋可動域制限

〇体幹筋力低下(前面筋・後面筋)

〇下肢筋力低下

27. 仰臥位・高齢者

仰臥位・高齢者

28. 寝返りまでのアルゴリズム

寝返りまでのアルゴリズム

29. 寝返り動作の第1相

頸部の動きと肩甲帯の前方突出とリーチが起きるまで

〇わずかに頸部の屈曲、回旋させて、体幹と骨盤を筋連結させる

〇左肩甲骨の前方突出により支持基底面を狭小させ、回転力を得る

ポイント

寝返り動作の第1相

30. 頸部をわずかに屈曲・回旋すると?

頸部をわずかに屈曲・回旋させることで、体幹前面の筋が緊張し、体幹と骨盤を連結することによって、その後の動作が容易となる

次に、

左上肢で右側へリーチを行い、左肩甲骨を前方突出する左上肢のリーチ動作により、

肩甲骨を前方突出することで、支持基底面の縮小化と重心が右上側方へ移動するため、寝返り方向に回転しやすくなる。

頸部をわずかに屈曲・回旋すると?
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31. 寝返り動作の第2相

上部体幹が回旋を始め、上側になる肩が下側になる肩の上に配列されるまで

ポイント

〇上部体幹が回旋させるために、下部体幹が固定部位となる

寝返り動作の第2相

32. 第1相は頚部の回旋のみであるが...

第1相は頚部の回旋のみであるが、第2相は上部体幹が回旋(体軸内回旋)を始める右寝返り時は左外腹斜筋・右内腹斜筋が活動

上部体幹が回旋するためには、下部体幹が床に

固定されている必要がある。

このとき下部体幹を固定するために、床を押さえつけるように大腿直筋などの膝関節伸展筋が活動。

第1相は頚部の回旋のみであるが...

33. 寝返り動作の第3相

下部体幹が回旋を始め、側臥位まで

ポイント

〇下部体幹を回旋させるために、上部体幹が固定 部位となる

寝返り動作の第3相

34. 第2相では上部体幹が回旋するために?

第2相では上部体幹が回旋するために、下部体幹が固定部位としての役割を果たしていたが第3相では逆になる第3相では逆になる。

下部体幹の回旋を完了させると膝関節を屈曲させ、支持基底面を広く取り、側臥位の安定化を図る。

体幹筋・腸腰筋・内転筋群・殿筋群

下部体幹の回旋を完了させると膝関節を屈曲させ、

支持基底面を広く取り、側臥位の安定化を図る

第2相では上部体幹が回旋するために?

35. 良い寝返り動作

〇支持面が連続性を保っていること

〇 胸郭と骨盤を転がすために頭部

・上肢

・ 下肢が重さを提供

できていること

〇 各身体部位が適切な筋緊張で連結し、

滑らかに転がっていること

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36. 寝返り動作の相分け

1相:頸部の動きと肩甲帯の前方突出とリーチが起きるまで

2相:上部体幹が回旋を始め、

上側になる肩が下側になる肩の上に配列

されるまで

3相:下部体幹が回旋を始め、

側臥位まで

37. 寝返り動作の相分け 図

(テキストなし)

寝返り動作の相分け 図

38. 寝返り動作を実行するための戦略は?

〇背臥位から両手、

両膝を立てて、

横に倒す

〇背臥位から寝返り側へ上肢をリーチして、体幹を回旋

〇寝返る反対側の床を蹴る

〇柵を持って引っ張る

寝返り動作を実行するための戦略は?

39. 起き上がり アルゴリズム

起き上がり アルゴリズム

40. 起き上がり 写真 1

起き上がり 写真 1
セミナーレポート一覧

41. 起き上がり 写真 2

起き上がり 写真 2

42. 起き上がり 写真 3

起き上がり 写真 3

43. 起き上がり動作の第1相

背臥位から体幹を回旋して側臥位になり、肘で体幹を起こして片肘支持位まで(on elbow)

背臥位から側臥位となりそのまま股関節を屈曲させ、ベッドから下肢を下垂させる。

このとき、第1のてこ(安定のてこ)が働いて、下肢の重みが力点となって体幹を持ち上がり易くなる。

(カウンターウェイトの活性化)

起き上がり動作の第1相

44. 下肢をベッドから下垂させたとき

第1のテコがうまく利用できないため、

体幹は持ち上がり易くならない。

肩:軽度屈曲

・外転

・内旋位

肘:軽度屈曲位

前腕:回内位

下肢をベッドから下垂させたとき

45. 下肢の重みで体幹が持ち上がり易くなる

on elbowを成功させるには、回転運動の軸を肩関節から肘関節へ移行する必要がある。

そのため、肩関節を軽度屈曲

・外転

・内旋位、

肘関節軽度屈曲位で保持した後、肩関節を伸展させ、on elbowへ移行する。

→肩関節伸展作用の三角筋後部線維と腹筋、腹斜筋群が強く活動

下肢の重みで体幹が持ち上がり易くなる セミナー詳細・スケジュール

46. 起き上がり動作の第2相

片肘位(on elbow)状態から上肢を伸展して起き上がるまで

第2相は、

肘関節を伸展させてon elbowからon handへ移行します。

起き上がり動作の第2相

47. on elbowからon handへ

on elbowからon handへの移行は、第2のてこの形になり、比較的少ない力で体幹を起こすことが可能になる。

→上腕三頭筋が強く活動

on elbowの支持基底面は側方臀部、前腕と範囲が広い状態だったがon handへ移行するに従い、

支持基底面は臀部と支持している。

手の範囲内でしかないため、劇的に支持基底面が狭小し、重心も上方に移動する。

そのため、変化していく支持基底面に対して重心がその中に保持する能力が必要となる。

体幹機能が不安定な方は、on elbowからon handへの移行期に特に注目して観察する。

on elbowからon handへ

48. 座位保持 アルゴリズム

座位保持 アルゴリズム

最後までご観覧いただき、ありがとうございました。

ALSOKケアプラスのセミナー活動が、皆さまの学びと現場の支援に少しでもお役立ていただけましたら幸いです。
今後も定期的に最新のセミナーレポートを公開してまいります。