その人の幸せを感じるポイントを探し 人生の可能性を広げる手助けを。[まごころ便りVOL .1]
QOL向上をもたらす鍵は。
自分の足で立てるようになりたい、と言うご本人の要望から始まった施術でしたが、ご本人や奥様、ケアマネジャー様とその人らしく生活するために何が必要か考えていった結果、当初はあまり問題視していなかった。極度の円背に対してアプローチすることになりました。強度な前屈姿勢の矯正は難しい点もありましたが、その後姿勢の改善が図られ、上肢を自由に使えるようになりました。それらにより、自分でできることを増やしたいと言う意欲が増し、施術師との非常に厚い信頼関係構築にもつながりました。がんの進行による身体状況の悪化にも負けず、疼痛改善による終末期のメンタルケア効果もあり、初期に形作られたQOLを維持し、穏やかな生活を保つことに成功しています。
名古屋営業所 / 木股相談員


病状の変化にも対応した、多角的なアプローチ。
今回のケースは、施術によってADLが向上した後にがんが進行し、ADLと身体状況の悪化と言う経過をたどりながらも、一貫して取り組んできた。QOL向上のための支援が奏功して穏やかな生活を安定することができた事例になります。病状の変化がご本人だけでなく、奥様の負担や不安へと結びつく中、状態に応じた施術・指導・相談など、多角的な取り組みによりご夫婦ともにQOLを維持することにつながりました。初期から緩和ケアに至るまでの施術のポイントに焦点を当てました。
<初期目標>
下肢筋力低下予防・メンタルケア・座位バランスの安定化
<中長期的目標>
QOLの維持・身体状況の維持
治療内容
まずは下肢のマッサージや関節のリラクゼーション、足や股関節などの運動から治療を始め、改善が見られるようになってからは、さらに座位での姿勢保持機能の維持・向上を目標にプッシュアップなども取り組んでいただきました。ご本人だけでなく、奥様も交え、介護指導を実施しました。その後、がんの進行とともに緩和ケア期に入られたことから、疼痛を軽減し、QOLを維持する方針に切り替えました。さらに、ご本人だけでなく、奥様のQOLの維持も非常に重要と考え、相談支援に努めました。
生きる気力が生まれる施術。奥様の相談相手にも。
姿勢が以前より改善したことで、手が自由に使え、ものが持てるようになり、ものづくりもできるようになりました。生きていく中で楽しみや喜びが増え、施術師の訪問そのものがご本人の生きる気力を生み出しているようでした。奥様にとっては施術師は、ご主人の体の変化を身近で把握している相談相手。何でも話せる関係が心強いとお言葉をいただきました。初期から緩和ケア期までの関わりを通じ、私たちにとって貴重な経験となった事例です。

ご利用者情報
K様(73歳・男性)
傷病名:胸椎圧迫骨折・前立腺癌・パーキンソン病・脳梗塞
長年の生活習慣からの円背状態が、圧迫骨折により悪化し、筋力も低下していました。また、足のふらつきから、パーキンソン病が発覚し、両側脳深部刺激装置を装着されていました。
最初は、自分の足で立ちたいと言う願いから。
当初、ご本人からは自分の足で立てるようになりたい。と言うニーズが聞かれました。ご家族は自宅で生活させたいので、介護負担を減らしたいとお考えで、ケアマネージャー様からもご本人に加え、ご家族の介護技術指導についての要望がありました。また余命3ヶ月と言う診断があったため、QOLの維持が重要な課題となりました。
間瀬施術師
