むせを見逃さない人になる。脳卒中の利用者様を守る嚥下ケア実践マニュアル_SPRO202606
麻む痺・声・食形態の「3つの窓」から嚥下障害に気づき、今日からの施術に活かすための完全ガイド

プロが作った教科書シリーズ|訪問マッサージ実践講座
むせを見逃さない人になる。
脳卒中のご利用者様を守る嚥下ケア実践マニュアル
麻痺・声・食形態の「3つの窓」から嚥下障害に気づき、今日からの施術に活かすための完全ガイド
目次
第1章 問題提起:なぜ今、脳卒中後の嚥下障害を学ぶのか
日本人の死亡原因の第4位は脳血管障害です。第1位はがん、第2位は心疾患、第3位は老衰、そして第4位が脳血管障害という順位になっています。つまり脳血管障害は、命に関わることもある病気だということを、まず知っておく必要があります。
そして、皆さまが日々担当されているご利用者様の多くは、すでにこの脳血管障害を生き抜いてこられた方です。寝たきりになる原因の第1位は脳卒中であるというデータもあり、脳卒中の後遺症とどう向き合うかは、在宅ケアに携わる私たちにとって避けて通れないテーマです。
特に見落とされがちなのが「食べること」「飲み込むこと」に関わる後遺症です。手足の麻痺は誰の目にも明らかですが、顔や舌の麻痺、飲み込みにくさは、意識して観察しなければ気づけません。むせている、声がかすれている、食事に時間がかかる――そうした小さなサインの背景には、命に関わる誤嚥性肺炎のリスクが隠れていることがあります。
誤嚥性肺炎は、飲み込みの機能が低下した高齢者にとって最も警戒すべき合併症のひとつです。「気づく力」を持つスタッフが一人でも多く現場にいることが、ご利用者様の命と生活の質を守ります。
第2章 誤嚥と誤嚥性肺炎の基礎知識
喉の奥には2つの通り道があります。空気の通り道である気管と、食べ物の通り道である食道です。気管は前側、食道は後ろ側に位置し、食道の入り口は普段はつぶれていて、飲み込むときだけわずかに開く仕組みになっています。
誤嚥とは、食べ物や唾液が誤って食道ではなく気管に入ってしまうことです。気管の先には本来無菌である肺があり、そこに食べ物や細菌が入り込んで炎症を起こすことを誤嚥性肺炎と呼びます。
飲み込みを支える「4つの弁」
安全に飲み込むためには、体の中で4つの弁が連動して閉じる必要があります。
| 弁 | 働き | 弱くなると起こること |
|---|---|---|
| 唇の閉鎖 | 口の中に食べ物をとどめる | 口からこぼれる、空気が漏れる |
| 鼻咽腔の閉鎖 | 軟口蓋が上がり鼻への逆流を防ぐ | 鼻に食べ物が漏れる、圧が保てず食べ物が残る |
| 喉頭蓋の反転 | 気管の入り口にふたをする | むせやすくなる |
| 声門の閉鎖 | 声帯が閉じて気管を二重に守る | 湿った声、しわがれ声が出やすくなる |
脳卒中によってこの4つの弁のどこかを動かす筋肉に麻痺が起こると、飲み込みの安全性が損なわれ、誤嚥のリスクが高まります。
誤嚥しているかもしれないサイン
| サイン | 特徴 |
|---|---|
| むせ | 食事中・食後にせきこむ |
| 湿性嗄声 | 食べ物が声帯の上に乗り、湿った・ガラガラとしたしゃがれ声になる |
| 食後ののどのゴロゴロ音 | 飲み込み後に喉に残留がある |
| 咳・痰の増加 | 誤嚥物を排出しようとする反応 |
| 食事時間の延長・食欲低下 | 疲れやすさ、口の中に食べ物が残る感覚の低下 |
誤嚥のサインは「むせ」と「湿性嗄声」の2つを軸に覚えておくと、現場で思い出しやすくなります。
第3章 原因を知る:脳卒中という病気
脳血管障害という言葉から多くの方がイメージするのが「脳卒中」です。脳卒中は大きく3つのタイプに分けられます。
| 種類 | 状態 |
|---|---|
| 脳梗塞 | 脳の血管が詰まる |
| 脳出血 | 脳の血管が破れて出血する |
| くも膜下出血 | 脳の表面を覆うくも膜下腔に出血が起こる |
このうち最も多いのが脳梗塞です。脳卒中は生活習慣病のひとつとされ、高血圧・糖尿病・肥満・脂質異常・喫煙・過度の飲酒・運動不足・ストレスなどによって血管の中がドロドロになったり、血管の壁がもろくなったりすることで発症リスクが高まります。ひび割れたホースの中を濁った水が流れているようなイメージを持つと分かりやすいでしょう。
脳梗塞は「時間との勝負」
脳出血やくも膜下出血に比べ、脳梗塞は発見から治療までの時間が短いほど劇的に回復する可能性がある病気です。血管内治療によって血液をサラサラにする薬を投与したり、細いステントを使って血栓を回収したりする治療が行われます。
| 治療の目安時間 | できること |
|---|---|
| 発症から4.5時間以内 | 血栓を溶かす薬剤(血栓溶解療法)が使える可能性がある |
| 発症から8時間程度以内 | カテーテルによる血栓回収などの血管内治療が可能な場合がある |
治療できるかどうかは条件によって異なりますが、発見が早ければ早いほど選択肢が広がることに変わりはありません。ご利用者様やご家族に、次の「アクト・ファースト」の合言葉をお伝えすることも、私たちにできる大切な支援です。
アクト・ファースト(症状に気づいたらすぐに行動する)
- 顔:片側に麻痺やゆがみはないか
- 腕:片側の腕に力が入らないことはないか
- 言葉:ろれつが回らない、言葉が出てこないことはないか
- 時間:症状が出た時刻を必ず確認し、記録する
これらに当てはまる場合は、ためらわずに119番へ。緊急かどうか判断に迷う場合は、救急安心センター事業(#7119)に相談する方法もあります。
第4章 脳のどこが壊れると何が起こるのか
脳は損傷を受けた部位によって、現れる症状が大きく異なります。脳卒中による後遺症は、大きく2つに分類できます。
| 分類 | 内容 | 代表例 |
|---|---|---|
| 身体機能障害 | 手足や口・のどを動かす機能の障害 | 手足の麻痺、顔面麻痺、嚥下障害、構音障害 |
| 高次脳機能障害 | 脳で情報を処理する機能の障害 | 記憶障害、注意障害、失語症、性格変化、易疲労性 |
私たちが向き合う「嚥下障害」は身体機能障害に分類されますが、コミュニケーションに関わる「失語症」は高次脳機能障害に分類される点に注意が必要です。この2つは対応方法がまったく異なるため、しっかり区別して理解しましょう。
損傷部位と主な症状の対応
| 部位 | 主な症状 |
|---|---|
| 前頭葉(中心前回) | 運動麻痺 |
| 頭頂葉(中心後回) | 感覚障害 |
| 頭頂葉(その他) | 半側空間無視、注意障害 |
| 側頭葉 | 音を聞く・言葉を理解する処理の困難 |
| 後頭葉 | 半盲など視覚情報処理の障害 |
| 前頭葉(その他) | 情報処理・注意のコントロールの困難 |
同じ症状(たとえば注意障害)でも、原因となる損傷部位は一つとは限りません。「この症状=この部位」と単純に結びつけず、「損傷部位によって出やすい症状がある」という理解にとどめておくことが大切です。
構音障害と失語症の違い
言語聴覚士が最も丁寧に見極めるポイントのひとつが、構音障害と失語症の違いです。現場でもしばしば混同されますが、まったく別の障害です。
| 項目 | 構音障害 | 失語症 |
|---|---|---|
| 障害される段階 | 声を出す最終段階(唇・舌・頬の筋力低下) | 言葉が生まれる前の段階(言語中枢の損傷) |
| 言葉の理解 | 保たれる | 低下することが多い |
| 特徴 | ろれつが回らない、聞き取りにくい | 言いたいことが言えない、話の内容が理解しにくい |
| 好発する麻痺側 | 左右どちらの麻痺でも起こりうる | 言語中枢は多くの場合左脳にあるため、右片麻痺の方に疑いを持つ |
右片麻痺のある方は、失語症を合併している可能性を一度は疑うという視点を持っておきましょう。言葉数が極端に少ない、はい・いいえだけで答えようとするといった様子が見られたら要注意です。
第5章 問いかけ:あなたのご利用者様は大丈夫ですか
ここまでの知識を踏まえて、ご自身の担当されているご利用者様を思い浮かべながら、次の問いを自分に投げかけてみてください。
- その方の食事の形態は何ですか。常食ですか、それとも介護食ですか。
- 食事中や食後に、むせている様子はありませんか。
- 声がかすれている、ガラガラしていると感じたことはありませんか。
- 顔やベロの動きを意識して観察したことはありますか。
- 会話の中で、言葉数が少ない、聞き返しが多いと感じたことはありませんか。
これらの問いにひとつでも「気になる」と感じた項目があれば、それは大切な気づきです。次の章から、その気づきを具体的な評価と対策につなげる方法を学んでいきましょう。
第6章 対策①:3つの評価ツールをマスターする
嚥下障害の評価は、専門的な検査だけでなく、現場ですぐに使えるシンプルな方法から始めることができます。ここでは代表的な3つの評価をご紹介します。
① 反復唾液嚥下テスト(RSST)
食べ物を使わずに飲み込みの力を評価できるテストです。
- 人差し指と中指で、喉仏の少し上(甲状軟骨のあたり)に軽く触れます。
- 「できるだけたくさん唾を飲み込んでください」と伝えます。
- 30秒間で何回飲み込めたかを数えます。
| 30秒間の回数 | 目安 |
|---|---|
| 3回以上 | 正常の範囲 |
| 2回以下 | 嚥下障害の疑いあり |
RSSTは検査であると同時に、そのまま飲み込みの訓練にもなります。「前回は2回だったけれど、今回は3回できましたね」と回数の変化を一緒に確認することが、ご利用者様の意欲づくりにもつながります。3回以上できたからといって誤嚥がまったくないと言い切れるわけではない点にも留意しましょう。
② 声の状態の評価
声は、飲み込みに関わる筋肉の状態を映す鏡です。次の2点を確認します。
- かすれ声(湿性嗄声)の有無:声帯の上に食べ物や唾液が乗っているサイン
- 発話の聞き取りやすさ:唇・舌・頬の動きの精度を反映する
高齢になると誰でも声はある程度かすれてきます。これは声帯の動きが弱くなっている証拠であり、加齢そのものが誤嚥のリスク要因になり得ることを覚えておきましょう。ただし、風邪や声帯のポリープ、喉頭がんなどが原因でかすれ声が出ている場合もあるため、発声訓練を行う前に体調の確認をすることも大切です。
③ 顔・舌の麻痺チェック
「あいうべ体操」の動きをご利用者様にやっていただくことで、顔面・舌下神経の麻痺の有無を簡易的に確認できます。舌を出してもらったときに、左右どちらかに偏っていないかを見るのがポイントです。
| 評価項目 | 低下なし(A) | やや低下(B) | 低下あり(C) |
|---|---|---|---|
| 声の状態 | かすれなし・聞き取りやすい | 時々かすれる・やや聞き取りにくい | 常にかすれる・聞き取りにくい |
| 顔・舌の麻痺 | 麻痺なし | 軽度の麻痺・拙劣さがある | 明らかな麻痺がある |
第7章 対策②:食形態チェックの実践
食形態は、その方に嚥下障害があるかどうかを判断するもっともシンプルな手がかりです。「今、何を食べていますか」を確認するだけで、多くの情報が得られます。
主食・副食・水分の3項目で確認する
| 評価 | 主食・副食 | 水分 |
|---|---|---|
| A(低下なし) | 常食 | とろみなし |
| B(やや低下) | 介護食(きざみ食・全粥など) | とろみあり |
| C(低下あり) | ごく少量のお楽しみレベル | とろみつきでも飲めない、または経口摂取が制限されている |
常食を食べていて評価がAだったとしても、むせや湿性嗄声などのサインがあれば嚥下障害がないとは言い切れません。食形態の評価はあくまで手がかりのひとつとして活用しましょう。
ユニバーサルデザインフードの4区分
介護食を選ぶ際の目安として広く使われている分類です。噛む力に応じて4段階に分かれています。
| 区分 | 目安 |
|---|---|
| 容易にかめる | 普通の食事に近いが、やや硬いものが食べづらい |
| 歯ぐきでつぶせる | 歯がなくても、歯ぐきでつぶせる硬さ |
| 舌でつぶせる | 舌と上あごの間でつぶせる硬さ(やわらかい卵料理など) |
| かまなくてよい | 咀嚼せずに飲み込めるペースト状の食事 |
むせが起きたときの最も即効性のある対応は「食形態を一段階下げる」ことです。常食でむせているなら全粥へ、全粥でむせているならペースト食へ。水分にとろみがなければ薄いとろみをつけてみる、といったように段階的に調整します。逆に食形態を上げるタイミングは判断が難しく、看護師やご本人の申告も踏まえながら、少量から試して様子を見ることが基本になります。
第8章 対策③:現場で使える実技トレーニング
ここでは、施術やケアの前後に取り入れられる、飲み込みに関わる筋肉を鍛える実技をご紹介します。回数や秒数はご利用者様の体力に合わせて調整してください。
① 開口保持訓練
口を大きく開けたまま、5〜10秒間キープします。喉の奥にぎゅっと力が入る感覚を確認しながら行います。開けて閉じてを繰り返すのではなく、開けっぱなしにすることがポイントです。5回程度繰り返します。
② 舌出し保持訓練
舌をしっかり前に出したまま、5〜10秒間キープします。恥ずかしさを感じる方も多いため、こちらも一緒に行う姿勢が効果を高めます。
③ パ・タ・カ・ラ体操(構音訓練)
それぞれの音は異なる筋肉の動きによって作られています。どの音がゆがむかを観察することで、どこの筋力が弱っているかが分かります。
| 音 | 使う部位 | 弱くなるとどうなるか |
|---|---|---|
| パ | 唇を閉じる | 食べ物が口からこぼれやすくなる |
| タ | 舌を上あごにつける | 飲み込む力が弱くなり食べ物が残りやすくなる |
| カ | 舌を空間に保持する | 食べ物を喉へ送り込む動きが弱くなる |
| ラ | 舌を巻いて上あごに押しつける | 送り込みや構音の精度が下がる |
パタカラ体操は漫然と繰り返すのではなく、「どの音がゆがんでいるか」を意識しながら行うことで、目的を持った訓練になります。苦手な音が分かれば、その音を集中的に、ゆっくり、何度も繰り返して練習しましょう。
④ プッシング・プリング法(発声訓練)
声帯を閉じる力を高める訓練です。手と手を強く押し合わせながら「エイ」と声を出します。力を込める動作が苦手な方には、こちらの手を握ってもらいながら一緒に声を出す方法も有効です。椅子の座面を引き上げるように力を入れながら発声する方法(プリング)もありますが、声帯にポリープなどの疾患がある場合は負荷のかけすぎに注意が必要です。
⑤ おでこ体操
手のひらの付け根をおでこに当て、あごを引いておへそをのぞき込むようにしながら、おでことてのひらで5秒間押し合います。ご自身の力だけでは弱い場合は、介助者が手を添えて一緒に行うことも効果的です。
⑥ 顎持ち上げ体操
親指をあごの下に当て、あごを下に引きながら、親指でしっかり押し返すように押し合います。5秒間を2回程度行います。ある程度の認知機能が保たれている方に適した訓練です。
発声を伴う訓練が苦手な方には、無理に声を出させようとせず、手を握り合う、立ち上がる動作に合わせて力を入れるなど、日常動作の中で「踏ん張る」感覚を引き出す工夫が有効です。また、唾液を飲み込むこと自体がつらいと感じる方には、1時間に1回程度、少量の水分やお茶を口にしていただくことで、飲み込みの練習と不快感の軽減を同時に図れる場合があります。
第9章 症例から学ぶ実践対応
右片麻痺、左顔面神経麻痺・舌下神経麻痺のある方
全粥を食べておられますが、時々むせが見られ、口の中に食べ物の残りかすが確認されました。カ行・ラ行の発音にゆがみがあり、湿性嗄声も認められました。
観察のポイント:口の中に食べ物が残っていることに、ご本人が気づいていない様子がありました。これは感覚障害と運動麻痺が重なることで、残った食べ物が不意に気管へ入り込むリスクを高めます。
対応:鏡を使って麻痺側をご自身の目で確認していただき、非麻痺側に食べ物を意識的に運んでいただくよう提案しました。あわせて、湿性嗄声に対してはプッシング法による発声訓練、舌の麻痺に対してはカ行・ラ行を中心とした構音訓練を行いました。
右片麻痺、失語症が疑われる方
常食を自己摂取されていますが、むせがあり食欲の低下も見られました。会話では「はい」「いいえ」のみ、あるいはうなずきで答えることが多く、言葉数が極端に少ない様子でした。顔面神経麻痺・舌下神経麻痺・構音のゆがみは見られませんでした。
観察のポイント:右片麻痺があることから、左脳にある言語中枢の損傷、つまり失語症の可能性を疑いました。構音障害と異なり、言葉の理解そのものに困難が生じている可能性があります。
対応:ご家族から対応のコツを伺い、指示は短く、はっきりと伝えるようにしました。「これからリハビリをします、座ってください」と言葉だけで伝えるのではなく、動作を示しながら伝える工夫をしました。構音の訓練が難しい場合でも、舌を出す・口を開けるといった動作は模倣によって行っていただくことができ、開口保持訓練やおでこ体操はイラストやジェスチャーを交えて実施しました。
失語症のある方とのコミュニケーションでは、大きな声で話せば伝わるというわけではありません。短い言葉・はっきりした発音・動作を添えることが、理解を助ける基本の工夫です。
第10章 現場で使えるチェックポイントABC
詳しい評価が難しい場面でも、次の3つのポイントだけは必ず確認しましょう。
| 項目 | 確認すること |
|---|---|
| A:麻痺 | 顔・舌に麻痺はないか(あいうべ体操などで確認) |
| B:声 | かすれ声はないか、聞き取りにくくないか |
| C:嚥下障害 | 食形態は介護食か、むせ・湿性嗄声・食後ののどのゴロゴロ音はないか |
中枢性と末梢性の顔面神経麻痺の見分け方
顔面神経麻痺には中枢性と末梢性の2種類があり、対応が異なります。
| タイプ | 特徴 | 対応の目安 |
|---|---|---|
| 中枢性 | 顔の下半分(頬から下)のみに麻痺がある | ある程度の運動訓練は問題ないことが多い |
| 末梢性 | まぶたが下がる、おでこにしわが寄らないなど、顔の上下両方に麻痺がある | 過度な運動は症状を悪化させることがあるため、既往の治療方針を確認してから慎重に進める |
末梢性の顔面神経麻痺がある方は、動かし方を誤ると過度な負荷がかかり、かえって動きにくくなる可能性があります。自己判断で訓練を強化せず、必ず既往の治療内容や医療職の指示を確認しましょう。
まとめ:本講義の重要ポイント
- 脳血管障害は死因の第4位であり、寝たきりの最大原因でもある。
- 脳卒中は脳梗塞・脳出血・くも膜下出血の3種類。脳梗塞は発見が早いほど治療の選択肢が広がる。
- 症状に気づいたら「顔・腕・言葉・時間」を確認し、ためらわず救急要請につなげる。
- 嚥下障害は身体機能障害、失語症は高次脳機能障害に分類され、対応方法が異なる。
- 構音障害と失語症はまったく別の障害。右片麻痺の方には失語症の可能性も疑う。
- 誤嚥のサインは「むせ」と「湿性嗄声」の2つが基本。
- RSST・声の評価・食形態評価の3つで、現場でも嚥下障害の有無を確認できる。
- 脳卒中後の嚥下障害は、適切な訓練によって少しずつ改善する可能性がある。
- 現場で迷ったら、チェックポイントABC(麻痺・声・嚥下障害)を必ず確認する。
学びの振り返りメモ
本章を読み終えたら、特に印象に残った内容や、明日からの施術で意識したいことを整理してみましょう。
- 今日の学びの中で、最も新しい発見だったことは何ですか。
- すでに担当しているご利用者様の中で、当てはまる方はいませんでしたか。
- 次回の訪問で、まず確認してみたいことは何ですか。
チェック練習表
担当されているご利用者様を思い浮かべながら、該当する項目にチェックを入れてみましょう。
- 食事の形態(主食・副食・水分)を確認している
- 食事中・食後のむせの有無を確認している
- 声のかすれ(湿性嗄声)の有無を確認している
- 顔・舌の麻痺の有無を確認している
- 会話の様子から失語症の可能性を意識している
- RSSTなど簡易的な評価方法を実施できる
- むせが見られたときの食形態の調整方法を理解している
- 開口保持訓練・舌出し保持訓練・パタカラ体操などの実技を説明できる
目標再確認シート
1.今週、意識して確認したいご利用者様:
2.今週、実践してみたい評価・実技:
3.1か月後に達成したい目標:
4.困ったときに相談したい相手・窓口:
受講者の声
構音障害と失語症の違いがあいまいだったのですが、右片麻痺の方には失語症の可能性を疑うという視点をいただき、担当の方への接し方を見直すきっかけになりました。
30代・女性パタカラ体操をなんとなく行っていましたが、それぞれの音がどの筋肉の動きを表しているのかを知り、今後はゆがみを観察しながら取り入れたいと感じました。
30代・女性症例を通した解説がとても分かりやすく、鏡を使ったフィードバックなど、明日からすぐに試せる工夫を数多く学べました。
20代・女性アクト・ファーストの合言葉は、ご利用者様やご家族にもそのまま伝えられる内容で、とても実用的だと感じました。
30代・男性運営スタッフより
本講義にご参加いただき、誠にありがとうございました。日々の現場で「気づく力」を磨いていただくことは、ご利用者様の安全と生活の質を守るうえで何より大切な財産になります。今回学んだ視点を、ぜひ明日からの施術に生かしていただければ幸いです。今後も皆さまの学びを支える講座を継続してまいりますので、引き続きよろしくお願いいたします。
運営スタッフ一同ALSOKケアプラスでは、セミナー受講者向けの施術プログラムを中心に、実践的な学びを提供しています。
WEBセミナーの参加や施術・セミナー動画の観覧は、弊社とご契約いただいた方限定となります。
ALSOKケアプラスのセミナーは無料で受講可能です。
まずは下記のバナーからご確認ください。
過去のセミナー動画や資料は、配信メールに記載の「WEBセミナーお申込みフォーム」から閲覧登録が可能です。
最後までご観覧いただき、ありがとうございました。
ALSOKケアプラスのセミナー活動が、皆さまの学びと現場の支援に少しでもお役立ていただけましたら幸いです。
今後も定期的に最新のセミナーレポートを公開してまいります。



むせと湿性嗄声という2つのサインを覚えるだけで、日々の観察の視点が変わりました。食形態を必ず確認するという習慣も、今日からすぐに実践したいと思います。
40代・女性