『大腿骨頸部骨折後施術の極意:プロが教える動作能力向上プログラム』PT-T4F21_4
"内側か?外側か?骨折部位が予後を決定する理由
🔴血流の有無が「骨がつく・つかない」の運命を分ける
♦関節包内(内側)と関節包外(外側)の解剖的境界
大腿骨頸部骨折は、骨折が「関節包(関節を包む袋)」の内側で起きたか、外側で起きたかによって、その後の経過が180度変わります。
この分類を正しく理解することは、リスク管理の第一歩です。
・大腿骨頸部内側骨折(関節包内骨折):股関節の袋の中で起こる骨折です。
病態の特徴→ 関節包の中には「骨膜」がなく、仮骨(新しい骨)ができにくいため、非常に骨がくっつきにくい場所です。
・大腿骨転子部骨折(外側骨折・関節包外骨折):関節包の外側(やや足元に近い膨らんだ部分)で起こる骨折です。
病態の特徴→筋肉が豊富に付着しており、血流が良いため骨はつきやすいですが、その分損傷も激しくなります。
♦栄養血管の分布と骨膜の有無による治癒能力の差
なぜ場所によってこれほど差が出るのでしょうか。
その原因は「血の通い方」と「骨の再生力」の違いにあります。
・内側骨折が難治な理由:頸部を栄養する血管(内側・外側大腿回旋動脈など)が骨折によって断たれやすく、骨頭壊死に陥るリスクが極めて高いのが原因です。また、関節液が骨折部に入り込むことで、骨がくっつくのを妨げてしまいます。
・外側骨折が痛む理由:血管が豊富で骨膜もあるため骨癒合は良好ですが、受傷時のエネルギーが大きく、周囲の軟部組織(筋肉など)の損傷や術後出血(血腫)が著明になります。これが術後の強い痛みや筋力低下の主な原因となります。
♦術式に応じたリスク管理とマッサージの戦略
骨折のタイプを見極め、それぞれの「弱点」を補う介入を行います。
・内側(人工骨頭置換術後など)への介入:自分の骨をあきらめ金属に置換している場合、最大のリスクは脱臼です。特定の動作(深く曲げる、内側にひねる等)に注意しながら、関節可動域の維持を図ります。
・外側(骨接合術後など)への介入:骨はつきますが、お尻(臀部)や太ももの筋肉が著しく弱くなります。対策として、痛みを緩和するマッサージを行いながら、早期から臀筋群への筋力入力を行い、支持性の向上を目指します。
・共通の対策:どちらのタイプも「術後の炎症」による組織の癒着を防ぐため、愛護的かつ的確な触圧刺激で循環を改善させることが重要です。
👉「内側は骨頭壊死と脱臼に注意、外側は筋力低下と疼痛管理を重視」。この病態理解が、患者様を安全に歩行自立へと導くプロの判断基準となります。"

