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認知症と転倒リスク

講師:ケアプラス テクニカルアドバイザー 理学療法士 Mr.T

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今回のセミナー情報

講義内容PT直伝!
認知症と転倒リスク
開催日2024年5月8日
講師(株)ケアプラス テクニカルアドバイザー 理学療法士 Mr.T
開催場所ウェブセミナーにて

講義目次

【Title】認知症と転倒の関係性
【1】注意(障害)の定義・概念
【2】注意機能の分類
【3】注意機能の分類 1
【4】注意機能の分類 2
【5】注意機能の分類 3
【6】注意機能の分類 4
【7】注意機能の分類 5
【8】注意機能の分類 6
【9】注意機能の分類 7
【10】注意障害へのリハビリテーション
【11】注意障害へのリハビリテーション 1
【12】注意障害へのリハビリテーション 2
【13】注意障害へのリハビリテーション 3
【14】戦略的置換法
【15】戦略的置換法 1
【16】戦略的置換法 2
【17】認知機能障害に関連した転倒リスク
【18】認知症の方がよく転倒する理由とは?
【19】転倒の原因となりうる作用・副作用をきたす薬剤
【20】転倒に関連する認知症の中核症状
【21】認知症の症状と転倒に関連する症状
【22】認知症の方が転倒しやすい場所とケーススタディ
【23】認知症の神経症状
【24】転倒を予測する転倒関連行動
【25】認知症高齢者の転倒に関連する行動
【26】歩きまわる行為(徘徊)のメカニズム


【Title】認知症と転倒の関係性

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【1】注意(障害)の定義・概念

• 注意の定義
必要な標的に着目して情報の入力・処理・出力を行う脳機能のプロセスとする

• 注意障害の定義
ある特定の刺激に意識を集中し続けることが障害される

• 概念
「精神活動によって本質的な要素を選びだすことを保障している要因及び精神活動

の正確で組織だった遂行のための調節を維持している過程」としている -Luria-
注意がどういうものか誰でも知っている。それは同時に存在する可能性があるいくつかの対象、または、一連の思考のうちの一つが明瞭で生き生き」とした形で心を占めることである。意識の焦点を合わせ集中することがその本質であり、あることを効果的に処理するために、他のいくつかの事から手を引くことを意味する。

【2】注意機能の分類

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【3】注意機能の分類 1

• 持続性注意(sustained attention)と障害
ある対象に向けた注意をその課題や活動に集中し 続ける注意の働き

• 責任病巣
大脳皮質全般の損傷、皮質下損傷、特に、右側大脳半球損傷後

• 日常生活場面
断続的な課題では問題ないが、連続して実行する必要のあるものは困難な場面が見られる。本を読み飛ばす・会話が移ろいやすくなる等々


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【4】注意機能の分類 2

• 容量性注意と障害
「人間が外界からの刺激を一度に明瞭化する事のできる意識の範囲」

• 責任病巣
前頭前野、大脳皮質の散在性・びまん性損傷、皮質下損傷

• 日常生活場面
情報量の少ないものであれば問題ないが、情報量が多くなると処理・操作することが困難になる。桁数の少ない暗算は可能だが多いものは困難になる・同時に多くの仕事ができなくなる。

【5】注意機能の分類 3

• 選択性(方向性)注意(selective attention)と障害
外界から来る大量の情報から必要な情報や重要な情報を選びだす注意の働きのこと。

・随意(意図)的な選択性注意
自分の欲求・動機・目的に関連した刺激を意図的に選び出す注意の働き。

・非随意(自動・反射)的な選択性注意
非随意的な方:条件反射学でいうところの定位反応(反射)に相当。未知の 刺激に対して反射的に注意を向ける働き。

• 責任病巣
主に頭頂葉だが、他の領域であっても出現する。

• 日常生活場面
無関係な刺激に対して注意を奪われやすくなる。ある課題を行っていて、 もの音がしたりするとそっちに注意が向いてしまう。

【6】注意機能の分類 4

• 転換性注意(alternating attention)
ある刺激から他の刺激に対して注意を変える能力。

• 日常生活場面
思考や行為に中断が入ると続けられなくなる。ひとつのことを考え
始めると別のかんがえかたへ変換できずにこだわり続ける。

• 分配性注意(divided attention)
二つ以上の刺激に交互、ないし同時に注意を向ける能力。
注意の焦点の連続的な変換能力(switching)や展開される注意の容量
(attention capacity)に強く関連している。

• 日常生活場面
2つ以上の対象に同時に注意を向けることが困難になる。

【7】注意機能の分類 5

• 全般性注意障害(confusional state)
上記の全ての注意機能が全般的に障害されるもの。

• 責任病巣
右大脳半球の前頭前野・頭頂葉領域の損傷後に発現率が高いことが
知られている。

• 日常生活場面
話の内容にまとまりがなくなる・正確に物事を記憶できない、
思い出せない・判断力低下等

【8】注意機能の分類 6

• 注意の能動的制御機構(SAS:supervisory attentional system )

• 随意性注意(voluntary attention)、努力性注意(effortful attention)、注
意の実行性調整(executive control of attention)等と呼ばれており、選
択性注意や注意の持続性より高次の注意機能。

• 機能
1.注意を向けるべき刺激の種類を柔軟かつ効率的に変換する
2.自らの注意の容量を踏まえて適切な注意の分配を行うこと
3.課題の遂行において選択性注意を戦略的に使用する。


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【9】注意機能の分類 7

• Sustained attentionの評価バッテリー
Audio-motor method
PASAT(paced auditory serial addition test)
連続打叩課題(CAT)
digit span
Mental tracking
• Selective attentionの評価バッテリー
Cancellation test
Trail making test-A
dichotic listening rask
• Alternating attentionの評価バッテリー
Cancellation test
Trail making test
• Divided attentionの評価バッテリー
Letter cancellation test
Perceptual speed
Trail making test-B
• スクリーニング検査
注意機能スクリーニング検査(D-CAT)

【10】注意障害へのリハビリテーション

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【11】注意障害へのリハビリテーション 1

• 実際の介入方法
・機能的適応的アプローチ(functional adaptation apprpach)
・認知機能へのアプローチ

直接刺激法:stimulation therapy(直接的治療介入)

戦略的置換法:strategy substitution(代償的治療介入・補填的治療介入)

行動的条件付け法:behavioral conditioning (行動的治療介入)

環境調整的治療介入

【12】注意障害へのリハビリテーション 2

• 直接刺激法(直接的治療介入)
障害された注意機能を、反復して使用することで直接回復することを目的にしている

• 非特異的治療介入
注意に負荷を掛ける様々な認知課題を反復練習することで、障害された注意を全般的に刺激し賦活 して
改善を目指すものであり、
1.外的刺激への注意と反応性
2.外的刺激への集中力
3.状況刺激の段階別治療介入
4.内的刺激への注意
5.反応と行動の調整の各段階を順次確立していく方法

• 具体的な課題例
1単純反応時間課題
2時針配置課題
3刺激選択課題
4時間評価課題
5リズム音再生課題

【13】注意障害へのリハビリテーション 3

• 特異的治療介入
注意障害に対して下位から上位に対して段階的に働きかける治療法と、注意障害の種類別に働きかける治 療介入とに大別できる。

• APT(Attention process training)が代表的。
APTの治療標的
1.障害された機能・構成モジュールの認知過程へ特異的に介入し、特異的な機能の回復を目指す
直接訓練
2.注意機能を全ての行動の基盤と捉え、訓練することで日常生活の行動の改善を目指すこと。

APTでは、注意機能を
1.持続性注意 2.選択性注意 3.柔軟(転換)性注意 4.分割性注意に分け、障害されたものを集中的に治療

• 具体的な課題例
1.標的音同定課題、数列配置課題
2.抹消課題
3.交代性課題
4.二重課題

【14】戦略的置換法

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【15】戦略的置換法 1

• 代償的治療介入
・活動の自己指向化
自分自身の行動を意識的に監視すること。

・活動の自己ペース化
無理せずに自分のペースを保ち、適当な間隔で休憩を取ることを指導。

・重要事項の記録化
注意転換が困難な場合、ある行動から他の行動に移る際、元の活動に注意を速やかに戻すことができなくなる。その際に、直前の活動に注意を復帰しやすくする為に、重要な事項を書きとめておき、注意を元の活動に速やかに転換する際の手がかりにする。

• 補填的治療介入
何らかの外的補助手段を利用して補う方法。

【16】戦略的置換法 2

• 行動的治療介入
「注意する」行動の生起頻度をできるだけ高めることを目的にする。

• 環境調整的治療介入
日常生活への注意障害の影響が出来るだけ少なくなるように環境を整える。

【17】認知機能障害に関連した転倒リスク

【認知機能障害】具体的な症状/転倒リスクとの関連
【記憶障害】新しいことを覚えることが難しい/介助の必要性を覚えていない・物を置いた場所がわからない・覚えられない
【見当識障害】時間・場所・人などを認識することが難しい/場所などがわからず(例:トイレ)、歩き回って転倒する・昼夜逆転して見守りの十分でない夜間に活動する
【視空間認知障害】物の位置や距離、方向を認知することが難しい/物の位置がわからず、つまずく・ぶつかる
【失認・失行】失認:視覚、聴覚で得た情報を正しく認識することが難しい・失行:物事を順序よく遂行することが難しい/衣服や履物を正しく着用できないためにバランスを崩して転倒しやすい
【注意障害】注意を向けたり、維持したりすることが難しい/注意深い行動がとれない・注意喚起を理解できずに転倒する

【18】認知症の方がよく転倒する理由とは?

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◆ 認知力が低下し、小さな段差や物につまずくから
・認知症の方は、記憶力や物事の理解・判断力などの認知力が低下する.そのため、見えているも
のを正確に把握できない・危険を判断できない・気が散ってしまうなどの症状が現れる.
それにより「地面の小さな段差に気付かない」「障害物をよけ切れず強引に進もうとする」「距離感
がわかりにくい」ことがあり、転倒してしまう.

◆混乱して焦るから
・認知症が進むと記憶力が低下し、「自分がどこにいるのか」「なぜこの場所にいるのか」などが
わからなくなり混乱が起きやすくなる.混乱すると不安が増大して焦ってしまい、転倒につながりや
すくなる.

◆薬の影響でふらつきなどが起きるから
・病気の治療薬で、副作用の影響が出る場合がある.例えば睡眠薬は眠気が残っていたり効きすぎ
ていたりするとふらつきを起こしやすくなる.このように薬の影響により眠気やふらつき・めまい・
起立性低血圧などが起きるケースもあり、運動能力の低下につながる場合は転倒に注意が必要.

【19】転倒の原因となりうる作用・副作用をきたす薬剤

※表
作用・副作用(症状別)を引き起こす主な薬剤 のまとめ

【20】転倒に関連する認知症の中核症状

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※表
記憶障害・見当障害・視空間障害・失認・失行・注意力障害
具体的な症状&転倒と関連 の説明


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上記のケーススタディーレポートは弊社のWEBセミナーを受講した施術師が施術しました。


【21】認知症の症状と転倒に関連する症状

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※表
認知症の症状(18種類)ごとで引き起こされる転倒事例

【22】認知症の方が転倒しやすい場所とケーススタディ

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◆ よく転倒する場所

・ベッド周辺
→認知症の方にとって生活の拠点となる場所が、ベッドの周辺.転倒・転落事故の6割以上がベッド周辺で
起きているという報告あり.
電気コードなどつまずきやすいものがあったり、散らかっていたりすることなどが転倒のきっかけになる.

・トイレ周辺
→夜間頻尿になっている場合は、夜中に2回以上トイレに行く.
夜間のトイレは暗闇を歩くことになり、つまずきやすい.また、トイレ内は狭くバランスを
崩しやすいうえ、「下着をおろす」「便座に座る」など重心移動をともなうさまざまな動作が必要に
なるため、転倒につながりやすくなっている.

【23】認知症の神経症状

※図 認知症の種類(17種類)と、主な神経症状

【24】転倒を予測する転倒関連行動

・突発的な行動をとる
・興奮して動き回る
・看護・介護援助に対して抵抗する
・車いすの座位姿勢バランスが崩れる
・危険に対して意識せずに行動する
・指示を従わず一人で行動(移乗・トイレ・歩行など)しようとする
・状態が悪い時でも普段と同じような行動をする
・車椅子から急に立ち上がったり、歩き出そうとする
・実際はできない行動(歩行、立位、移乗など)を自分一人でできると思って行動する
・尿意、便意を感じると、突発的にトイレに行こうとする
・尿意、便意が気になって落ち着かない

【25】認知症高齢者の転倒に関連する行動

• 興奮して動き回る
• 突発的な行動をとる
• 指示に従わず1 人で行動する
• 尿意‚ 便意が気になって落ち着かない
• 実際はできない行動を自分 1 人でできると思って行動する
車椅子から急に立ち上がったり‚ 歩きだそうとする
• 危険に対して意識せずに行動する
• 車椅子の座位姿勢バランスが崩れる
• 看護 ・ 介護援助に対して抵抗する
• せん妄‚ 意識レベルの変化がある

【26】歩きまわる行為(徘徊)のメカニズム

※図

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上記のケーススタディーレポートは弊社のWEBセミナーを受講した施術師が施術しました。

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