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20200812-04 「廃用症候群の姿勢・動作リハビリ」

講師:㈱ケアプラス テクニカルアドバイザー 理学療法士 Mr.T

今回の講義内容:「廃用症候群の姿勢・動作リハビリ」 2020年8月12日
講師:㈱ケアプラス テクニカルアドバイザー 理学療法士 Mr.T

今回も、大勢の方に参加いただき充実した会となりました。
ご参加の皆様、「理学療法WEBセミナー」を熱心に受講していただき、誠にありがとうございました。
T先生、分かり易く熱意あるご講義をありがとうございました。
セミナーの概要については以下をご参照ください。

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目次

1 リハビリテーションの考え
2 理学療法評価の対象
3 機能障害(impairment)
4 能力低下(disability)
5 社会的不利(handicap)
6 理学療法評価
7 理学療法評価の対象について
8 標準的な評価の先には?
9 1-情報の入手
10 症状に影響を与えているファクターは・・・
11 2-統合と解釈
12 3-治療方針の仮説を立てる
13 4-治療(検証作業)
14 5-再評価(検証作業の解釈)
15 6-治療方針の立案
16 障害構造の階層
17 抑えてもらいたいポイント〜HOPEとNEED〜
18 なぜわたしたちは動ける?
19 皆さまの対象者はなぜ動けない?
20 状態を良くするには
21 廃用症候群の方をイメージしてください
22 ADL獲得の流れ
23 寝返り動作 Roll over
24 動作を見る上で重要な視点
25 身体各部の重量比と身体重心
26 動作を見る上で重要な視点
27 動作を見る上で重要な視点 2
28 動作を見る上で重要な視点 3
29 支持基底面と重心
30 支持基底面と重心 2
31 支持基底面と重心 3
32 安定性まとめ
33 動作観察(評価)
34 動作観察(評価)2
35 動作観察(評価)3
36 動作観察(評価)4
37 動作観察(評価)5
38 動作観察(評価)6
39 動作観察(評価)7
40 良い寝返り動作
41 寝返り動作パターン
42 寝返り動作の相分け
43 寝返り動作の相分け 2
44 どちらが容易に寝返り可能?
45 寝返り動作を実行する重要なポイント
46 寝返り動作を実行するための戦略は?
47 観察のポイントは?
48 寝返り動作の第1相 頸部の動きと肩甲帯の前方突出とリーチが起きるまで
49 頸部をわずかに屈曲・回旋させることで、体幹前面の筋が緊張し、体幹と骨盤を連結することによって、
 その後の動作が容易となる
50 寝返り動作の第2相
51 寝返り動作の第2相 2
52 寝返り動作の第3相
53 寝返り動作の第3相 2
54 寝返り動作分析のまとめ
55 起き上がり動作 Sitting over
56 背臥位〜端座位 起き上がりパターン
57 起き上がり動作の相分け
58 起き上がり動作の第1相
59 起き上がり動作の第1相 2
60 起き上がり動作の第1相 3
61 起き上がり動作の第2相
62 起き上がり動作の第2相 2
63 起き上がり動作分析のまとめ

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48  寝返り動作の第1相

頸部の動きと肩甲帯の前方突出とリーチが起きるまで 第1相
【ポイント】
①わずかに頸部の屈曲、回旋させて、体幹と骨盤を筋連結しせる
②左肩甲骨の前方突出により支持基底面を狭小させ、回転力を得る

49 頸部をわずかに屈曲・回旋させることで、体幹前面の筋が緊張し、 体幹と骨盤を連結することによって、その後の動作が容易となる。


頸部をわずかに屈曲・回旋。
体幹前面の筋が緊張。
体幹と骨盤を連結することによって、その後の動作が容易に。

次に、左上肢で右側ヘリーチを行い、左肩甲骨を前方突出。

左上肢のリーチ動作により、肩甲骨を前方突出することで、
支持基底面の縮小化と重心が右上側方へ移動するため、
寝返り方向に回転しやすくなる。

50  寝返り動作の第2相
上部体幹が回旋を始め、上側になる肩が下側になる肩の上に配列されるまで

第2相
ポイント
上部体幹が回旋させるために、下部体幹が固定部位となる


51  寝返り動作の第2相 2

第1相は頚部の回旋のみであるが、第2相は上部体幹が回旋
(体軸内回旋)を始める
右寝返り時は左外腹斜筋・右内腹斜筋が活動。上部体幹が回旋するためには、
下部体幹が床に固定されている必要がある。
このとき下部体幹を固定するために、床を押さえつけるように
大腿直筋などの膝関節伸展筋が活動。

52  寝返り動作の第3相
下部体幹が回旋を始め、側臥位まで

ポイント
下部体幹を回旋させるために、上部体幹が固定
部位となる


53 寝返り動作の第3相 2

第2相では上部体幹が回旋するために、下部体幹が固定部位としての役割を果たしていたが第3相では逆になる

下部体幹の回旋を完了させると膝関節を屈曲させ、支持基底面を広く取り、側臥位の安定化を図る

54   寝返り動作分析のまとめ

頸部をわずかに屈曲、回旋させ体幹と骨盤を 筋連結させる

肩甲骨の前方突出より支持基底面を狭小させ、 回転力を得る

上部体幹が回旋させるために、下部体幹が 固定部位となる

下部体幹を回旋させるために、上部体幹が 固定部位となる


55
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56 背臥位〜端座位 起き上がりパターン

  背臥位→長座位

  背臥位→体幹を回旋しながら長座位→端坐位

  背臥位→体幹を屈曲させながら臀部を軸に回転→端坐位

  背臥位→側臥位となりベッドから下肢を下垂→端坐位

  顕著に筋力が低下していたり、片麻痺で弛緩性運動麻痺などが見られる方は、
  
  背臥位→側臥位となりベッドから下肢を下垂→端座位となるパターンが多い

57  起き上がり動作の相分け

1相(屈曲相):背臥位から体幹を回旋して側臥位になり、片肘支持位となるまで
2相(伸展相) :その状態から上肢を伸展して起き上がるまで

58  起き上がり動作の第1相

背臥位から体幹を回旋して側臥位になり、肘で体幹を起こして片肘支持位まで(onelbow)

第1相(屈曲相)
背臥位から側臥位となりそのまま股関節を屈曲させ、ベッドから下肢を下垂させる。
このとき、第1のてこ(安定のてこ)が働いて、下肢の重みがカ点となって体幹を持ち上がり易くなる。
(カウンターウェイトの活性化)


59  起き上がり動作の第1相 2

肩:軽度屈曲・外転·内旋位
肘:軽度屈曲位
前腕:回内位

下肢をベッドから下垂させたとき、体幹の柔軟性(主に側屈)が欠如していると、第1のテコがうまく利用できないため、体幹は持ち上がり易くならない。
よくパーキンソン病の方などは体幹の柔軟性が欠如しており、そういったケー -スが多く見られる。


60  起き上がり動作の第1相 3

下肢の重みで体幹が持ち上がり易くなったところで、ほぼ同時にon elbowに移る。 (onelbow:肘で体重を支持すること)
onelbowを成功させるには、 回転運動の軸を肩関節から肘関節へ移行する必要がある。

そのため、肩関節を軽度屈曲・外転・内旋位、肘関節軽度屈曲位で保持した後、肩関節を伸展させ、onelbowへ移行する。
→肩関節伸展作用の三角筋後部線維と腹筋、腹斜筋群が強く活動


61  起き上がり動作の第2相

片肘位(onelbow)状態から上肢を伸展して起き上がるまで
第2相は、肘関節を伸展させてonelbowからonhandへ移行します。

62  起き上がり動作の第2相 2
onelbowからonhandへの移行は、第2のてこの形になり、比較的少ない力で体幹を起こすことが可能になる。
→上腕三頭筋が強く活動

onelbowの支持基底面は側方臀部、前腕と範囲が広い状態だったがonhandへ移行するに従い、支持基底面は臀部と支持している
手の範囲内でしかいため、劇的に支持基底面が狭小し、重心も上方に移動する。
そのため、 変化していく支持基底面に対して重心がその中に保持する
能力が必要となる。体幹機能が不安定な方は、 このonelbowからon handへの移行期に特に注目して観察するべき


  
63   起き上がり動作分析のまとめ

股関節を屈曲させ、下肢を下垂させる
(カウンターウェイトの活性化)

on elbowへ移行する際は肩関節軽度外転位に なるようにポジションを整える

体幹機能が低下している場合、on elbowから on handへ移行する際は注目して観察する

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